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2010.07.09 Fri

「天地明察」を読了。Wikipediaには「渋川 春海(しぶかわ はるみ、しぶかわ しゅんかい、寛永16年閏11月3日(1639年12月27日) – 正徳5年10月6日(1715年11月1日))は江戸時代前期の天文暦学者、囲碁棋士、神道家である。幼名は六蔵、諱は都翁(つつち)、字は春海、順正、通称は助左衛門、号は新蘆、霊社号は土守霊社。貞享暦の作成者。姓は安井から保井さらに渋川と改姓した」とありますが、日本史の記述がいかに無味乾燥かと言うことの証明のような文章です。私も中学~高校と受験日本史を学んだのですが、事件、政変などの年号や為政者や文化人の名前を覚えさせられるばかりでした。同時に、NHKの大河ドラマなどで間違った英雄像というかあり得ない人物像を植え付けられることが多かったのですが、この小説では、昔も今もきっといるだろうと思われる理科系オタクの一典型を描いていました。この渋川春海という人物、只者ではありません。囲碁や将棋のプロは相当頭がよくないとなれないと言われますが、この人も天才的な頭脳の持ち主です。江戸城で将軍や幕府の要人を相手に囲碁のお相手をする碁打ち衆四家の一つ安井家に生まれて、普通であれば、碁打ちとしての人生を送るだけでしょうが、若いときからそろばんに目覚め、算術の魅力に取り憑かれ、さらに地測、天体観測、神道を究め、ついには日本独自の暦による改暦へと突き進んだ人生を描いていますが、同時代にもうひとりの天才数学者、関孝和というライバルがいたことと、純愛物語を織り交ぜることでで、見事な人間ドラマに仕上がっています。江戸幕府の幕閣の人物描写も秀逸で、読んでいて自分自身が大老酒井忠清や会津藩主保科正之、水戸藩主水戸光圀などに拝謁しているような緊張感を感じました。この本は若い理科系男子に読んで欲しいと思います。真理を極めるために理詰めが信条の科学者であっても、豊かな人間性に裏打ちされていてこそ、科学が世のため人のためになること「必至」と考えるからです。