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2009.05.22 Fri

筒井康隆先生の「ダンシング・ヴァニティ」を読了。いやはや筒井大人は聞きしにまさる天才だわ。この小説は、同じ主題が少しずつ変質して何度も繰り返される小説の変奏曲とも言える実験作。ジェイムズ・ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」も真っ青。世界文学と無縁の辺境文学である日本文学にあって、唯一世界文学の潮流に乗っている作品、世界に伍する傑作と言える。低迷している日本文学界にあって、筒井碩学に続く作家といえば、古川日出男くらいのものか。もう一人、川上未映子も贔屓にしているのだが、彼女は野坂昭如翁の末裔のような気もする。しかし、この作品、ワープロソフトのない時代に執筆していたら、同じ箇所を何度も書く作業に作家その人も次第に混沌の淵に沈みそうだ。コピーペーストして部分修正が出来るワープロソフト時代ならではの作品じゃなかろうか。筒井泰斗がワープロソフトを使って執筆されているのか、いないのか知らないのだが。ジャズのアドリブのように、とんでもない方向への転調があったり、シュールな設定やら物やら人やら動物やらが次々に現れて、読書と言うよりは、どたばた調の実験映画を見ているような気分になる。いや、まさに前衛映画のノベライズという感じだ。例えば、訳がわからんようになってからのゴダールの作品を観ている感じだったり、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」を見たときの衝撃にも近かかったりした。それにしても、筒井巨匠は、老いてますます筆が冴え渡っている。今や文豪の域に達したと言えそうだ。主人公は美術評論家なんだが、ちょっと入隊している間に超有名になってしまった彼と彼の家族の日常と言うにはいささかしっちゃかめっちゃかすぎる日々の出来事を一人称で書き留めたものだ。魅力的なキャラクターとしては、人間ばかりでなく、ダンシング・アウル(つまり踊るフクロウ)やら本棚の妖怪まで出てくる。女では功刀さんという出版社の秘書がチャーミングだ。さらに、コロスたちも愛くるしい。怪力の妹もかなり笑える。男では、主人公のお父さん。何ともとりとめのない読書感想文になってしまった。「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督で、映画化してくれないかな。主役は、役所広司か?あの呪文のような歌のメロディが、聞いたこともないの耳に残っている。

キトクロ キトクロ キノクトロ
キクラト キクラト キノクラト
キノ キノ キトロ キノキトロ
カラトロ カラトロ キノカトロ
カクラト カクラト キノカラト
カロ カロ カトロ カロカトロ