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2009.05.12 Tue

「経営危機の米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の現役幹部6人が今月8日~11日にかけて、保有するGM株をすべて売却したことが米証券取引委員会への届け出で明らかになった。同社が倒産すれば、株式が価値を失う前に売り抜けた形になる。最も多くの株式を売却したのはロバート・ラッツ副会長。8日に1株1.61ドルで8万1360株を売却し、計13万989ドル(1270万円)を得た。(asahi.com)」という話ですが、1株1.61ドルですか?以前はどれ位の株価だったのでしょう?今回の世界同時株安で資産を大幅に減らした人は大勢いるでしょうが、経営者といえども、愛社精神はほとんどないに等しいGMの経営陣にとって、みすみす紙くずになると分かっている自社株を持ち続けることはできなかったのでしょう。なんだか、強者どもが夢の跡の感じです。こんなに暴落した株を買う人もいるんですね。

勝谷誠彦の「彼岸まで。」を読了。この短編集は、コラムニストとして活躍中の勝谷さんの短編小説をまとめたものだが、開高健の小説と相通じるものを感じた。それはなにかと言うと、開高健と同じく、食を愛し、酒を愛し、旅を愛し、素晴らしい食のコラムや酒談義、紀行文の書き手であるだけでなく、常に時代を見続け、現場にこだわり、過去に作家が経験した事実をベースに、自身の体験に裏うちされた小説世界を構築しようとしているところが似ているとでも言えばよいのか、最近の文学界は、エンターテイメント系のものばかりが評判になって、純文学はすっかりなりを潜めているのだが、この短編集には、繊細な手触りの文学作品が並んでいる。冒頭の「ママ。」と「彼岸まで。」最後の「平壌で朝食を。」は、実体験を小説の形で追体験した作品と言えそうだ。いずれの作品も、虚実が絶妙にない交ぜになっていて、読んでいるとどこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのか分からなくなってしまう。JRの尼崎での脱線転覆事故でも、生き残った人が、何故自分だけ助かったのかで苦しまれているという記事を読んだことがあるが「遠い墜落」は、墜落したJALに搭乗する予定だった作家が、運命のいたずらで生き残ってしまった幸運を素直に幸運と喜べない魂の葛藤から生まれた作品だろう。「連絡船のうどん」、「ナニワ金鉄道」「U13」はフィクションながら、それぞれの背景になる事件が、時代と添い寝している作家の目線のありかをよく表している。勝谷誠彦は、「ただ生きるな。よく生きよ」という言葉をよく書いている。イラクでも、御巣鷹でも、2度も死に神の手をすり抜けた強運を真摯に受け止めた結果が、辛口コラムニストとして、何かに突き動かされたかのように日本人と日本社会の劣化に警鐘を鳴らし、過激と思える発言をし続けているエネルギーの源なのだと思った。