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2009.02.04 Wed

「チャイルド44」を読了。昨年度の「このミステリーがすごい」海外作品部門で1位になった小説です。通勤電車の中で読むだけなので、読み終えるのにほぼ1ヶ月掛かりました。スターリン体制の終焉からフルシチョフ政権への変わり目のソビエト社会の時代背景を上手く取りこみ、主人公の国家保安省の元捜査官とその妻が、国家に対する反逆罪の汚名を着せられ、追われる身でありながら、子供だけを狙った猟奇的な連続殺人犯の捜査に命がけで取り組むという、ハラハラドキドキのスペクタクルシーンと人間性の本質に迫るストーリーの妙がぎっしり詰まった重厚なエンターテイメント小説でした。主人公は、軍隊での活躍を認められて、国家保安省の捜査員になったの男です。社会主義体制では凶悪犯罪などは存在しないというのが国家としての建前なので、殺人事件が起こっても簡単な捜査で容疑者を逮捕し、拷問により自白をでっち上げ、まともな裁判も受けさせずに処刑してしまって、一件落着というとんでもないことがまかり通っていたようです。そんな暗黒時代のソビエト社会では、国家保安省の捜査官は特権階級なんですが、主人公は、ある事件の捜査をきっかけに、副官の個人的なねたみと陰湿な恨みと、国家的なスパイ冤罪策謀に嵌められ、妻とともに辺鄙な地方の民警の下級警察官に左遷されます。当時の民警というのは、地域ごとの犯罪の取り締まりが主な仕事で、江戸時代の岡っ引きのように世間から疎まれる存在でした。その地で起こった少女と少年の2件の殺人事件の捜査に関わったことから、猟奇的な連続殺人犯の存在が浮かび上がってきます。主人公は妻とともに、自分たちはもちろん、両親、周囲の人々の命までをも危険に曝しながら、犯人を、真実を求めて、捜査を続けます。しかし、国家への反逆者として逮捕され、強制収容所送りとされてしまいます。囚人護送列車から決死の脱出を図り、犯人を追う身でありながら、追われる身になります。ここからの展開は、まさに映画的というか、この原作にハリウッドが飛びつくのも当然と思われるほどのスリルとサスペンスとスペクタクルシーン満載でした。早速、ハリウッドが映画化を決めたようですが、ロシアでは発禁書に指定されているそうです。